チャットレディの確定申告をわかりやすく簡単に解説!


チャットレディのお仕事をはじめるにあたって確定申告はかなり腰の重い作業ではないでしょうか?
今回は、チャットレディの確定申告をできる限り簡単に解説していきますので、気になるかたは参考にしてみてください。

確定申告とは?


確定申告は毎年の2月15日から3月15日までに納める税を自己申告する制度です。
チャットレディで確定申告をしたことがない人は、「自己申告制」という点をしっかり抑えておきましょう。
県民税や市民税などは郵送で納付書が送られてくるので待っていればいいですが、所得税は自分で計算して国税庁に書類を提出したのちに税金を支払う流れとなっています。

業務委託契約でチャットレディをしている場合

チャットレディの会社や事務所に正社員やパートなどで雇用されていないのであれば、個人事業主やフリーランスとして業務委託契約で報酬を受け取っているはずです。
その場合、「年間の総収入」-「経費」-「控除」=「48万円」を超える場合は、確定申告しなければなりません。

これは本業や副業に関係なく、個人事業主やフリーランスに該当するすべてのチャットレディに共通です。

※令和2年(2020年)に提出する確定申告は令和1年(2019年)の分であり、基礎控除は38万円です。

令和3年(2021年)に提出する確定申告は令和2年(2020年)の分であり、これ以降は基礎控除が48万円に変更されました。

①年間の経費を計算しよう


チャットレディの経費は、在宅と通勤それぞれにさまざまなものが該当します。

  • 衣装
  • 下着
  • おもちゃ
  • パソコン
  • Webカメラ
  • キーボード
  • ヘッドフォンやイヤホン
  • マイク
  • セキュリティソフト
  • 家賃
  • 電気代
  • プロバイダー
  • 光熱費

何を経費に含めていいのか判断が難しいと思いますが、「プライベートでは一切使用しない、チャットレディの仕事をするときだけ使うもの」はすべて経費でOKです。
もし、プライベートでも使うのであれば、その物の利用頻度を「プライベート」:「ビジネス」で比率を計算して、ビジネスにあたる割合の費用を経費にします。

たとえば、自宅兼事務所の光熱費などは、毎月の光熱費を部屋数で割る、あるいは1つの部屋を丸ごと仕事部屋にして計算しやすくするなど、いくつか方法があります。
経費はレシートや領収書で証明できる準備をしておくことが重要で、ここさえ守っておけば迷ったときは経費に含めればいいと個人的には思います。

税務署から何か指摘されたとき、その指示やアドバイスに従いながら改善すればいいでしょう。
あるいは、どうしても心配な場合、あらかじめ税理士や国税庁に相談しておくのが一般的な対処方法です。
チャットレディ事務所によっては確定申告のアドバイスをしてくれるので、事務所のスタッフに相談するのがもっとも早いかもしれません。

②確定申告の控除を把握しよう

控除の種類控除の内容控除額
基礎控除年間の総収入から差し引くことができる控除。確定申告が必要かどうかは基礎控除をベースに考えることが多い。一律で48万円。
(基礎控除は令和2年(2020年)に確定申告したものまでは一律で38万円。
令和3年(2021年)に確定申告する令和2年分からは、一律で48万円に変更される。)
社会保険料控除納税者がその年に支払った社会保険料は、確定申告で社会保険料控除を受けられる。国民健康保険や国民年金も対象。その年に支払った社会保険料の総額。
雑損控除災害や盗難など損害を受けた場合、確定申告で一定の金額を雑損控除として受けられる。雑損控除額は、以下を計算して金額が大きいほうを選べる。
・差引損失額-総所得金額等×10%
・差引損失額の災害関連支出-5万円
医療費控除その年に支払った医療費が一定額以上あるとき、確定申告で医療費控除を受けることができる。医療費控除額は、以下を計算して最高200万円まで控除できる。
・医療費総額-10万円
・医療費総額-保険金などの補填額
年間の医療費が10万円以下の場合はマイナスになるので控除できない
小規模企業共済等掛金控除納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合、確定申告で小規模企業共済等掛金控除を受けられる。
①小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
②確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
③地方公共団体が実施している心身障害者扶養共済制度の掛金
控除対象の掛金は主に上記の3つ。
その年に支払った掛金。
生命保険料控除納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、確定申告で生命保険料控除を受けられる。生命保険料控除額は、以下(左)の年間保険料に応じて以下(右)の控除額が適用される。
・2万円以下:保険料の金額
・2~4万円以下:保険料×1/2+1万円
・4~8万円以下:保険料×1/4+2万円
・8万円超:一律4万円
地震保険料控除納税者が損害保険契約等にかかわる地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合、確定申告で地震保険料控除を受けられる。地震保険料控除額は、以下(左)の年間保険料に応じて以下(右)の控除額が適用される。
地震保険料
・5万円以下:保険料の金額
・5万円超:一律5万円旧長期損害保険料
・1万円以下:保険料の金額
・1~2万円以下:保険料×1/2+5,000円
・2万円超え:1万5,000円どちらの保険料もある場合、該当する計算で算出した金額の合計額が控除額となる。
寄付金控除納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して特定寄付金を支払った場合、確定申告で寄付金控除を受けられる。以下のどちらか低い金額から2,000円を差し引いた金額が寄付金控除。
・特定寄付金の合計額
・総所得金額等の40%相当額ただし、学校入学や寄付した人に利益があると認められるもの、たとえば政治資金規定法に違反するものなどは該当しない。
障害者控除納税者が同一生計配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に該当する場合、確定申告で障害者控除を受けられる。・障害者:27万円
・特別障害者:40万円
・同居特別障害者:75万円
寡婦控除(かふこうじょ)納税者が一般の寡婦(かふ)であるときは、確定申告で寡婦控除を受けられる。
①夫と死別して、夫と離婚してから婚姻していない人、または夫の生死が不明で扶養親族がいる人や生計をともにする子がいる人。
この場合の子は、所得合計が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られる。
②夫と死別したあとに婚姻していない人、または夫の生死が不明で合計所得が500万円以下の人。
寡婦は主に上記に該当する人。
・一般寡婦:27万円
・特別寡婦:35万円
勤労学生控除納税者が勤労学生の場合、確定申告で勤労学生控除を受けられる。
①給与所得などの勤労による所得があること
②合計所得が75万円以下で、2つ目の所得がある場合はその金額が10万円以下であること
③特定の学校の学生や生徒であること
勤労学生は、上記すべてに該当する人。
勤労学生控除は27万円。
配偶者控除納税者に控除対象の配偶者がいる場合、確定申告で配偶者控除を受けられる。
①民法規定による配偶者であること
②納税者と生計をともにしていること
③年間所得が48万円以下であること
④青色申告者と白色申告者の事業専従者でないこと
控除対象の配偶者とは、上記4つすべてに該当する人。
配偶者控除(以下の右)は、納税者の年間所得(以下の左)と配偶者の年齢できまる。
一般の控除対象配偶者
・900万円以下:38万円
・900~950万円以下:26万円
・950万円~1,000万円以下:13万円
老人控除対象配偶者
・900万円以下:48万円
・900~950万円以下:32万円
・950~1,000万円以下:16万円
配偶者特別控除配偶者控除を受けられない場合でも、配偶者の所得金額に応じて配偶者特別控除を受けられる。
①納税者の合計所得が1,000万円以下
②配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと
③配偶者が配偶者控除の要件を満たし、さらに年間所得が48~133万円以下であること配偶者特別控除を受けるためには上記すべてを満たす必要がある。
配偶者の合計所得金額が以下(左)の場合、納税者の所得が900万円以下、900~950万円以下、950~1,000万円以下に応じて以下(右)の控除額を納税者が受けられる。
・48~95万円以下(配偶者の所得):38万円の控除(納税者の所得が900万円以下)、26万円の控除(納税者の所得が900~950万円以下)、13万円の控除(納税者の所得が950~1,000万円以下)
・95~100万円以下:36万円、24万円、12万円
・100~105万円以下:31万円、21万円、11万円
・105~110万円以下:26万円、18万円、9万円
・110~115万円以下:21万円、14万円、7万円
・115~120万円以下:16万円、11万円、6万円
・120~125万円以下:11万円、8万円、4万円
・125~130万円以下:6万円、4万円、2万円
・130~133万円以下:3万円、2万円、1万円
扶養控除納税者に控除対象の扶養親族がいる場合、確定申告で扶養控除を受けられる。
①配偶者以外の親族または都道府県知事から委託された児童や市町村長から養護を委託された老人であること
②納税者と生計をともにしていること
③年間の合計所得額が48万円であること(給与だけの場合は103万円以下)
④青色申告者と白色申告者の事業専従者でないこと扶養親族は、上記すべてに該当する人。
・一般の控除対象扶養親族:38万円
・特定扶養親族:63万円
・老人扶養親族の同居老親等以外:48万円
・老人扶養親族の同居老親等:58万円

確定申告の控除は上記の14種類あるため、まずは自分に該当するものを探しましょう。
個人事業主やフリーランスとしてチャットレディしている人の多くは、以下の2つは該当するはずです。

  1. 基礎控除48万円(人を問わずに適用される)
  2. 社会保険料控除(国民年金と国民健康保険の総額)

国民年金は令和2年4月から令和3年3月末まで一律で月額1万6,540円なので、年間で19万8,480円です。
国民健康保険は世帯主の所得で決まり、支払回数は4月と5月を除く年10回。
ここでは、月々1万円の年間10万円とします。
「基礎控除48万円」+「国民年金(社会保険料控除)19万8,480円」+「国民健康保険(社会保険料控除)10万円」=「77万8,480円」が控除額の総額です。
つまり、控除額だけで考えると、チャットレディの年収が77万8,480円以下であれば確定申告する必要はありません。
自身に該当する控除がわからないときは、以下の国税庁を参照してくださいね。
参照:国税庁所得控除のあらまし
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1100.htm

③必要に応じて来年度に向けて開業届を出そう

申告の種類控除額特徴
白色申告・基礎控除は48万円・開業届が不要
・帳簿の種類や様式に決まりがない(簡易帳簿でOK)
・法定帳簿は7年、任意帳簿は5年保存しなければならない
・領収書などの現金預金取引関係の書類は5年保存しなければならない
青色申告・基礎控除は48万円
・青色申告特別控除は55万円
・e-Taxまたは電子帳簿保存をすると青色申告特別控除は65万円
・その年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出しなければならない
・青色承認申請書を提出するために開業届をしなければならない
・簡易帳簿でもよいが、一般的には複式簿記を採用する
・法定帳簿は7年、任意帳簿は5年保存しなければならない
・領収書などの現金預金取引関係の書類は7年保存しなければならない
・事業損失を3年間繰り越すことができる

確定申告には「白色申告」「青色申告」があります。
青色申告をする場合を除くと、そのほかのすべての人は白色申告です。
チャットレディに開業届が必要かどうかは個人差がありますが、控除額で判断するなら「基礎控除48万円」+「青色申告特別控除65万円」「113万円」となるので、白色申告よりもお得なことは間違いありません
もし、開業届を出して青色申告するなら、年収113万円以下のチャットレディは確定申告しなくてもいいということになり、これに経費やそのほかの控除をプラスすると割と大きな金額になります。
しかし、青色申告には損失の繰り越し制度があるので、赤字の場合でも確定申告するほうがお得です。
青色申告をしたいなら毎年の3月15日までに開業届と青色承認申請書を提出しなければならないので、この点をしっかり抑えておいてください。

正社員やパートなどでチャットレディをしている場合

正社員やパートなどで雇用されながらチャットレディをしている場合、その会社が年末に源泉徴収しているはずなので確定申告は不要です。

一般的に確定申告が必要な人


会社に雇用されている場合でも、以下のようなケースでは確定申告が必要です。

  • 給与の年間収入が2,000万円以上の人
  • 給与を1ヶ所から受けていて、所得金額の合計が20万円以上で源泉徴収されていない人
  • 給与を2ヶ所以上から受けていて、所得金額の合計が20万円以上で源泉徴収されていない人
  • 同族会社から給与のほかに賃貸料や機械使用料などの支払いを受けた人
  • 源泉徴収の徴収猶予や還付を受けた人
  • 公的年金等の雑所得から所得控除を差し引くと残額がある人
  • 源泉徴収されない退職金を得た人

副業でチャットレディをしている場合、年間に20万円以上の所得があるなら確定申告が必要です。

参照:国税庁 確定申告が必要な方
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm

チャットレディの確定申告のQ&A

チャットレディの確定申告に関する疑問点をまとめて紹介しておこうと思います。
どうすればいいのかわからないかたは、参考にしてみてくださいね。

確定申告しないとどうなるの?

確定申告は報酬や給与を支払う側もおこなう制度なので、相手が申告しているのに自分が申告していなければバレてしまいます。

  • 50万円までは15%
  • 50万円以上は20%

もし、申告していないことがバレると「無申告加算税」という罰則金が発生して、上記の割合を加算して税金を支払う必要があります。

チャットレディは確定申告すべきなの?


チャットレディは現金で報酬を受け取ることも多いと思いますが、「手取り」や「銀行振込」などお金の受け取りと確定申告はまったく関係ありません。
また、チャットレディという職業や業界も確定申告と関係なく、確定申告は年間の総収入や源泉徴収の有無などで決まります。

確定申告はどうやってやるの?


確定申告の書類は国税庁のホームページで作成します。

  • 郵送
  • e-Taxのマイナンバーカード方式
  • e-TaxのIT・パスワード方式

作成した書類の提出方法は上記の3種類です。
参照:国税庁 所得税の確定申告
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm

帳簿はどうやってつけるの?


青色申告は複式簿記、白色申告は簡易簿記が一般的です。
簡易簿記は手書きでもパソコンでもOKで、「日付」や「金額」など簡単な項目で作成した内容でも問題ありません。
国税庁は帳簿の付け方について無料指導もおこなっているので、時間のあるときに参加してみるのがおすすめです。
また、実際にどのような項目で作成すればいいのかは、以下を参考にしてみてください
参照:国税庁 帳簿の仕方がわからない方へ
https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/topics/shotokuzei/kicho.htm

レシートや領収書はどうやって保管するの?


経費を証明するためにレシートや領収書を保管しておくことは必須です。
保管方法はとくに方法が決まっているわけではないため、「箱に入れる」や「帳簿にはさむ」などでも問題ありません。
一度、確定申告すると「確定申告の控え」をプリントアウトして保管すると思うので、それに経費関連の資料をすべてホッチキスで止めておくと管理しやすいです。
ちなみにレシートや領収書などは確定申告書類と一緒に国税庁に提出する必要はなく、自身で保管しておけばいいだけですよ。

チャットレディはみんな確定申告してるの?


チャットレディで確定申告しているかどうかは、本当に収入によると思います。

脱税というのはたった1円でも申告漏れがあればアウトですが、申告漏れの金額が大きいほど税務署から指摘される可能性は高いでしょう。
今年や来年は申告しなくてもセーフだったとしても、将来的にいつアウトになるのかわかりません。
迷うのであれば、やり方がわからなくても自分なりに確定申告しておくほうがいいでしょう。

所得税っていくらくらいなの?


所得税は所得に応じて税率が決まっています。

  • 195万円以下:5%
  • 195~330万円以下:10%
  • 330~695万円以下:20%
  • 695~900万円以下:23%
  • 900~1,800万円以下:33%
  • 1,800~4,000万円以下:40%
  • 4,000万円以上:45%

経費や控除を差し引いて100万円が課税対象だった場合、税率は5%なので納める所得税は5万円です。
1億円など超高額を稼いでいるチャットレディは税率が高くなるため、所得税も高くなります。
課税所得が4,000万円だった場合は45%なので、1,800万円を所得税として納めなければなりません。

まとめ


チャットレディで確定申告に迷ったら、まず所属先の事務所に雇用や契約の形態を確認しましょう。
もし、個人事業主やフリーランスに該当するなら、その時点から経費や帳簿などを管理して確定申告に備えてくださいね。